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ワークショップ「ケータイの形態」
鳥海希世子・薗田恵美・武田安恵/平成14〜16年度科学研究費補助金基盤研究(B)(2)研究成果報告書/2005年

既存概念をつき崩し、メディアの可能的様態を探る

1.実践の背景

 1990年代後半以降、日本において携帯電話は急速な勢いで普及している。2005年現在、契約数は8500万台を超え、そのうちすでに約1700万台が第3世代携帯電話で占められている。

特に第3世代化による高機能化に伴い、日本では携帯電話の多機能化が急速に進展している。インターネット接続サービスの利用率は世界で最も高く、音楽配信サービスや、クレジットカードとして使用できるお財布機能など新しいサービスが次々と市場に投入されている。また、カメラ付き携帯電話の契約数は4800万近くにのぼり、全契約数に占める比率はこの2年半で3%から60%強にまで急伸した(1)。このように、その90%近くがインターネットに対応し、60%以上がカメラ機能を備えるにいたった日本の携帯電話は、音声通信専用の「電話」から総合情報通信端末、モバイル・メディアとしての「ケータイ」へと、今やその様態を急激に変化させつつあるといえる。本稿では、既存の携帯電話を「携帯」と、そしてこのワークショップを通じて新たにデザインしていく携帯電話を「ケータイ」と表記することにしたい。
 このような現在の携帯電話市場で、しかしながら第3世代携帯は苦しい戦線を余儀なくされている。売れ行きが伸び悩む一方、高機能化に対応するための開発費が莫大になっていのだる。第3世代携帯の1台分の開発費はおよそ100億円といわれ、各メーカーは頭を抱えている(2)。このような第3世代携帯の伸び悩みからも明らかにされつつあるのは、技術的発展に伴って止まることを知らない高機能化は果たして本当にユーザーのニーズを反映することが出来ているのか、という問題である。高機能をうまく使いこなせない、そこまで多くの機能を必要としないなど、キャリア側が提案する進化し続ける現在の携帯電話は、必ずしも社会におけるユーザーとの間でコンセンサスをもって受け入れられてはいないのではないだろうか。このワークショップを行うにあたり、私たちはこうした問題意識を持った。

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