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新聞のメディアリテラシーって! mell公開研究会2005.12
原真/2006.1

「新聞のメディアリテラシーって!: 実践の広がりと展望」

12月公開研究会は、近年「放送」に主眼を置いて活動してきたメルではあま
り取り上げてこなかった「新聞」をテーマに開催。事前から盛り上がりが予
想され、当日は外部からの取材も入り活気ある会となりました。
新聞メディア・リテラシーの実践者による経験に裏打ちされた報告に参加者
は熱心に耳を傾け、活発な議論が交わされました。

2005年12月メルプロジェクト公開研究会 報告

 日 時 2005年12月17日(土)午後2:00〜5:30
 場 所 東京大学本郷キャンパス情報学環アネックス2F会議室
 参加者 約50名
 テーマ 「新聞のメディアリテラシーって!: 実践の広がりと展望」
 登壇者 報 告:渡辺英美子(新潟日報)+北村順生(新潟大学)
         +新潟大学生
         岸尾祐二(聖心女子学院初等科)
 コメンテーター:桂敬一(立正大学)
         本橋春紀(日本民間放送連盟)
 モデレーター :原真(共同通信)

□ 最初の報告は、新潟大学と新潟日報によるプロジェクトについて。新潟日
報は、戦後60年を迎えたこの夏、新潟大の学生が取材した記事を2ページず
つ、3回にわたり掲載した。
 担当した新潟日報の渡辺英美子さんは「新聞社としては、戦後60年を若い世
代とともに考え、紙面に新風を吹き込み、同時に学生に新聞に興味を持っても
らいたかった」と狙いを解説。渡辺さんが新潟大の非常勤講師となり、新聞社
の見学、戦争体験者からの聞き取りなどを踏まえて学生たちがグループに分か
れて取材、記事を書いていった経緯をリポートした。新潟大の北村順生さんは、
同大学が学部横断的な副専攻の一つとしてメディアリテラシーを設け、「何を
やればよいか悩んでいたところ」、新潟日報から話があったと説明。プロジェ
クトに参加した新潟大3年生の佐藤委子さんは「記者が講師というので興味を
持った。『歌と戦争』をテーマに取材することになったが、うまくいかず、取
材やアンケートをやり直した」と苦労を語った。
 プロジェクトを振り返って北村さんは、1)新聞、さらにはコミュニケーショ
ン全体に対する学生の理解が深まった2)新聞への親近感がわいた、などの成
果を指摘。一方で、「紙面製作に没頭するあまり、記者の模倣で終わったので
は。自発的な気づきと教えることのバランスが取れていたか」と課題を挙げた。
渡辺さんは「『歌』が新鮮だった。学生の発想に刺激を受け、社内でも20代の
記者が若者とつくるページを来春立ち上げることになった。ただ、学生の視点
と商品としての記事のバランスが難しく、誘導した面もあり、学生から『自分
が書いた原稿とは違うものが載った』と不満も出た」と率直に述べた。佐藤さ
んは「記事として公表されるということで、友達と本気で話し合うことができ
た。取材したことの一部しか載せられなかったので、新聞を読むとき、書いて
あるものの背後には多くのことがあると思うようになった」と語った。
 続いて、聖心女子学院初等科の岸尾祐二さんが、自らのNIE(教育に新聞
を)の実践を報告。五感を使って記事を考えるため、ニュースをスケッチした
り、ニュースキャスターになったつもりで記事をまとめ直したり、新聞記者を
教室に招いたりと、幅広い活動を紹介した。
 岸尾さんは「新聞を読み比べる、間違いを探す、表現する、コミュニケーショ
ンする、記事にある場所に実際に行ってみて体験する、といった行為を通じて、
新聞を日常的に使い、楽しめるようになってもらいたい。教科書にも『自分新
聞をつくろう』などの項目が載るようになったが、好きなことを書くだけでな
く、読み解きを重視している」と強調した。
 コメンテーターの桂敬一さんは「メディアリテラシーで重要なのはコンテキ
スト(文脈、背景)。新聞をはじめとするマスメディアがおかしくなっている
なかで、社会を批判的に分析し理解して、その声をマスメディアに反映させて
いくべきだ」と助言した。民放連の本橋春紀さんは「新潟と同様、民放連のメ
ディアリテラシー・プロジェクトでも、既存のテレビの様式にはめ込まれる部
分があった。マスメディアは効率良く大量の情報を伝えるために型が必要で、
受け手もそれを前提にしている。新潟のような取り組みは、それを変えていく
力になり得る」と話した。
 * * *
 実例に基づく議論はとても興味深いものでした。筆者の大学などでの体験か
らも、マスメディアの人間がかかわって記事や番組を作るメディアリテラシー
活動では、いかに「教えない」かが焦点になるような気がします。記者が指導
する立場になってしまうと、学生だけでなく、記者自身も考える機会を失って
しまう。授業のマニュアル化という提案がありましたが、体制を整えることは
必要でも、できるだけ型をつくらない忍耐力が求められるのではないでしょう
か。

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