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メルプロジェクトの相貌(4)クロスカルチャー mell公開研究会2005.9
飯田豊/2005.10

「メルプロジェクトの相貌(4)クロスカルチャー:対話がつなぐ、回路を作る」

心もち過ごしやすい陽気のなかで開催された9月公開研究会。これからの活動
のために、メルプロジェクトを批判的に振り返るという試みも第4回を迎えま
した。この会のテーマは[異文化=cross culture、対話/つなぐ=dialogue/
connecting:送り手と受け手、企業と大学、学校と博物館など、異なる社会
領域を結びつけ、あらたなコミュニケーションの回路を生み出していく営み]。
意義深い議論が展開されました。

2005年9月メルプロジェクト公開研究会 報告

 日 時 2005年9月17日(土)午後2:00〜5:30
 場 所 東京大学本郷キャンパス情報学環アネックス2F会議室
 参加者 約45名
 テーマ 「メルプロジェクトの相貌(4)
        クロスカルチャー:対話がつなぐ、回路を作る」
 登壇者 報告:村田麻里子(京都精華大学)+三河内彰子(コロンビア大学)
         宮田雅子(東京大学情報学環)+佐藤翔子(多摩美術大学)
         永井由美子(多摩美術大学)
 コメンテーター:今福龍太(東京外国語大学)
 モデレーター :境真理子(江戸川大学)

□9月の研究会は文化人類学者の今福龍太さんをコメンテーターにお迎えして、
「クロスカルチャー:対話がつなぐ、回路を作る」をテーマにこれまでのメル
プロジェクトの活動を批判的に振り返りました。
 まず、三河内彰子さんが、<ミュージアム>と<高齢者>をつなぐ「超おと
なワークショップ」(2003年)について報告。この実践が<高齢者>に対す
るステレオタイプを揺さぶるものであったことを鑑みて、異文化を横断する企
てにおいては、互いの文化の関係性を組み替える「対話のデザイン」が不可欠
であることを述べられました。
 この指摘を受けるかたちで、宮田雅子さんと佐藤翔子さんは、「ものの設計
を通して、その向こうにある活動をデザインする」という情報デザインの観点
から、昨年度実施された「送り手と受け手の対話ワークショップ」(第二期民
放連プロジェクト)を振り返りました。モデレーターの境真理子さんは、この
実践のアナロジーが、ひいては放送だけでなく、科学、法律、医療などの領域
において、専門家と非専門家との乖離をつなぐデザインに有効ではないかと言
います。
 永井由美子さんは、「異分野研究者交流フォーラム」(2002年)について
報告。科学技術、社会、芸術の各専門家が「作品づくり」の過程を共有するこ
とで、共同的に活動できる場が形成できる可能性を示したものの、それを継続
していく方途を探っていくことが今後の課題であると述べられました。
 一連の実践に対して今福さんは、断絶があるからコミュニケーションを回復
するというのは真理の半面であり、専門性を形づくる社会構造を問題化するよ
うな文化批評的な側面がもっと模索されてもよいのではないかと指摘。そのた
めには、テレビという道具との関わり方はもとより、発表におけるスライドソ
フトの使用にいたるまで、さまざまな局面で<形式からの離脱=デタッチメン
ト>を意識化することが重要であるというコメントを頂きました。
 メディア・リテラシーという概念についても、その形式的な使用にもっと自
覚的であるべきで、むしろこの概念に対するデタッチメントの余地を残してお
くことが不可欠ではないか——。メルの活動を換骨奪胎している今だからこそ、
この問いをめぐる議論は極めて有意義だったように思います。

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