[ホーム] > [Text] > [レポート] > [はたして報道は変わったか そして被害者は今 mell公開研究会2004.6]

<< 前へ | はたして報道は変わったか そして被害者は今 mell公開研究会2004.6 | 次へ >>


はたして報道は変わったか そして被害者は今 mell公開研究会2004.6
中村大祐/2004.8

6月のメルプロジェクト公開研究会は、松本市で開催された「松本サリン事
件10年——報道の送り手と受け手について考えるシンポジウム『はたして報
道は変わったか そして被害者は今』」(メルプロジェクト共催)をもってかえ
させていただきました。事件報道のあり方におおきな波紋を投げかけた松本サ
リン事件から10年を経て、あらためて報道と視聴者の関係を考える貴重な会で
した。会場には松本市民、メディアの問題に関心のある全国の人々、松本美須々
ヶ丘高校の学生・OB/OG、ご父兄ほか、多数の参加者が集い、講演、報告、
ディスカッションなどが行なわれました。

2004年6月メルプロジェクト公開研究会

○ 日 時  6月26日(土)午後1:30〜5:00
○ 場 所  長野県松本市・信州大学旭町キャンパス高等教育システムセンター
○ 参加者  約180名
○ テーマ  「はたして報道は変わったか そして被害者は今」
○ 登壇者  飯岡詩朗(信州大学人文学部専任講師)
       河野義行(松本サリン事件第1通報者)
       磯貝陽悟(テレビ朝日、RSS専務理事)
       下村健一(市民メディアアドバイザー) 
       長野県メディア・リテラシー研究会、林直哉ほか
○  概 要
 松本サリン事件から10年を迎えた今夏、報道と視聴者の関係を考える「松
本サリン事件10年——報道の送り手と受け手について考えるシンポジウム
『はたして報道は変わったか そして被害者は今』」が開催されました。当日
は多くの参加者を集め、登壇者がそれぞれの立場から語る多様な意見に熱心
に耳が傾けられました。
 第一部では、10年前、松本美須々ヶ丘高校放送部の生徒が「報道被害とマ
スコミのあり方について、報道の最前線にいた記者たちへのインタビューで
迫った」作品をベースに、当時何が、どのように起こっていたのかを、番組
を作った高校生の視点、直接報道被害を受けた河野義行さん、事件の早い段
階で「河野犯人説」に疑問を投げかけたテレビ朝日の磯貝陽悟さん、TBS
の下村健一さん(当時)の2人のジャーナリストの視点から振り返りました。
事件報道の場合、警察発表に頼りがちな限られた取材と速報性を求められる
中、報道被害が起きてしまう構造と、独自の視点で丹念に検証することの重
要性が報告されました。
 同時に10年を経て、受け手の側から、マスメディアに就職して送り手側に
立場を変えた松本美須々ヶ丘高校放送部OBが、今回改めて3社を取材し、
送り手側は「部分的には変わったけれど、変わることができない部分がある
のでは」と実感を話しました。第一部でみえてきたのは、マスコミに正確さ
ではなくて「正しさ・正義」を求める受け手の構造が変わらないかぎり、送
り手の側に大きな変化はないのではということであり、それは会場の高校生
から発せられた「まちがった報道を訂正するのに謝罪はあたりまえでは」と
いう問いに集約されていたように感じます。
 第二部では、報道の「訂正」を減点法ではなく、加点法として捉える発想
の重要性や、インターネット・携帯電話など受け手が手軽に送り手となる時
代の「情報」との付き合い方、事件を一方からではなくあたかも検事と弁護
士のように両面から報道し提示する事など、「受け手」と「送り手」の関係
そのものを良い方向へ変化させていくことへの期待と必要性を意識した提言
がなされました。

レポート一覧

このブログのフィードを取得
[フィードとは]
Powered by
Movable Type