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サイエンスコミュニケーションの横断知 mell公開研究会2004.9
2004.1

「サイエンスコミュニケーションの横断知:市民と科学技術を結ぶ回路作り」

9月のメルプロジェクト公開研究会は、「科学コミュニケーション」を
テーマに東京大学大学院情報学環助教授の佐倉統氏をお招きし、「市民と
科学技術を結ぶ回路」についてお話をいただきました。メルプロジェクト
と「科学」の組み合わせにとまどわれる方もいらっしゃるかもれしれませ
んが、同氏は科学と社会を結びつける活動を続けるなかで、テーマをメディ
アや市民とのコミュニケーションへと広げており、その知見はメルにとっ
てもたいへん刺激的です。予想どおり、かずかずの示唆に富むお話から建
設的な議論が展開されました。

2004年9月メルプロジェクト公開研究会

○ 日 時 9月24日(土)午後3:00~6:00
○ 場 所 東京大学本郷キャンパス情報学環アネックス2F会議室
○ 参加者 約30名
○ テーマ 「サイエンスコミュニケーションの横断知:
                 市民と科学技術を結ぶ回路作り」
○ 登壇者 佐倉統(東京大学大学院情報学環助教授)
      薗田恵美氏(東京大学大学院情報学環修士1年)
      寿楽浩太氏(東京大学大学院情報学環修士2年)
      境真理子(日本科学未来館、メルプロジェクト・リーダー)
○ 概 要
 市民と科学の専門家とを結ぼうとする科学コミュニケーションと、メル
プロジェクトによるメディアの送り手と受け手とを結ぼうとするいくつか
の実践は相通じるのではないかと考えていました。まさにその科学コミュ
ニケーションに取り組まれている佐倉統さんと氏の研究室の院生である寿
楽浩太さん、薗田恵美さんの三人をお招きし、科学コミュニケーションの
現状とご自身の活動を紹介していただきました
(佐倉統研究室 http://www.ac.a.u-tokyo.ac.jp/sakuralab/main.htm)。
 はじめに佐倉さんから科学コミュニケーションの必要性についての話が
あり、科学技術と個人や社会の関係をめぐる課題や展望が示されました。
そのなかで、科学コミュニケーションについての語り口が研究者間のコミュ
ニケーションの「ハウ・ツー」と抽象度の高いコミュニケーション論とい
う両極に分離し、両者の中間領域が欠落している状態にあるという問題提
起がされました。
 そして、その中間領域となる薗田さんと寿楽さんの研究活動についての
発表がされました。薗田さんからは、社会との関係のなかで科学技術を語
ることができる能力としての科学リテラシーを視野に入れた科学コミュニ
ケーションの必要性が科学コミュニケーションの見取り図とともに示され
ました。寿楽さんからは科学技術に関して社会が意志決定を迫られる場面
におけるコミュニケーションの事例として、住民投票やコンセンサス会議
が紹介され、それらの機能や得失をふまえながら、制度化にこだわらずに
意志決定のプロセスをデザインしていくための考え方が紹介されました。
 それを受けるかたちで行われた境真理子さんを含めた4人と参加者との
ディスカッションでは、次のようなことを話し合いました。どうやって科
学ミュージアムが双方向のコミュニケーションの場となるのか。複数の合
理性のなかでいかに合意を得るのか。科学技術の知識を開いていく土壌を
どうするのか…。このような議論のなかで、科学技術に関心を持ってはい
るが専門家ではないような中間者、上田信行さん(同志社女子大学教授)
がいう「ちょっとだけインテリジェンスな人々」の役割が重要となってく
るという指摘がありました。
 また一方で、相通じると考えていた科学コミュニケーションとメルプロ
ジェクトによる実践との間に、文脈上の違いがあることも徐々に見えてき
たのも事実です。両者は確かに互いに参照し合える関係にありますが、そ
の際には両者の文脈の違いを認識する必要があること、そして逆にその違
いから自らの実践を振り返る必要があることを確認しました。
 あまりに多くの解き難い課題を前に頭を抱えつつも、参加した多くの人
たちが異なる立場の人びとを結びつけるための場や回路について考えを巡
らせていたことには大きな意味があるのではないでしょうか。

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